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中国の環境政策は危険が一杯

李逸飛(中国環境問題研究者)

2021年11月号

 ―あなたが子供の頃、中国の環境はどうでしたか?

 李 私は上海生まれで、子供の頃はあまりひどいとは思わなかった。
 二〇一四年に北京に行って、窓の外が何も見えない日が数日、数週間続き、これは大変だと思った。川は黒く濁り、臭いもひどい。こうした現象はすべて中国が産業化を経た後の現象だ。一九八〇年代の中国は、自然豊かだった。

 ―習近平国家主席は、環境保護論者ですか?

 李 そんなことはない(笑)。
 彼は「生態文明」という言葉を使い、自分が文明の指導者であるように振る舞う。それは、世界にそのように見てもらいたいからだ。こういう指導者は以前の中国にはいなかった。「中国は、アヘン戦争前の栄光の時代に戻った」「今は環境でも世界を指導するのだ」という、全体的には非常に政治的なメッセージを送っている。
 中国は確かに再生可能エネルギーの開発や植林にも熱心だ。それがすべて、環境に良いかは疑問だ。中国の環境政策は非常に強制力が強く、巨大イ・・・