日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題が世間を騒がせたのは二〇一八年の春だった。あれから三年以上が過ぎ、当時処分された理事は、ちゃっかり大学に舞い戻っていた。田中英壽理事長の懐刀でもある件の理事は、日大のさまざまな事業に関与していたことで知られ、今回、東京地検特捜部は疑惑の本丸に家宅捜索をかけた。「日大のドン」の暗部はどこまで暴けるか。

姉弟で田中理事長夫妻に接近

　九月八日、東京地検特捜部は、東京・千代田区の日大本部に加えて、世田谷区内にある、日大が百％出資する株式会社「日本大学事業部」や、田中理事長の自宅、関西の関係各所などに一斉に家宅捜索を行った。司法担当記者が語る。
「ガサ入れをしたのは、証券取引等監視委員会の告発などを担当する経済班だった。各所からの押収物は段ボール百箱以上あり、現在『ブツ読み』の真っ最中だ」
　田中氏に任意の事情聴取などは行われているが、すぐに逮捕されるといった雲行きではない。
　事件の舞台になったのは、老朽化した・・・