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経済

「岸田新政権」で遠のく経済回復

大改革断行もなく続く「停滞」

2021年10月号

 岸田文雄新総裁が提示した経済政策で最も注目すべきは「新自由主義からの転換」というスローガンである。一九八〇年代の中曽根康弘首相以降の市場重視、規制緩和、民営化など自由民主党の経済政策の根幹でありながら、未だ道半ばの政策を一言で捨て去ったからだ。代わりに掲げる「成長と分配の好循環」は社会主義国が失敗した理念に過ぎず、日本はむしろ過去二十年間、低成長だが、米国や中国に比べはるかに公平な分配を保ってきた。日本は分配に失敗したのではなく、自由主義経済が未達であるがゆえの低成長という現実を見ていない。岸田政権は経済政策では理念なき迷走がスタート前から見えている。

中身のない「左派旋回」

 今回の総裁選に出馬した四候補はいずれも、「格差の拡大」を指摘し、分配を大きな課題に取り上げた。コロナ感染の中で、飲食業、旅行・宿泊業などの中小企業、零細企業が大きな打撃を受け、その支援策が後手に回ったのは確かであり、コロナ禍という緊急事態の中での業種間格差の拡大や学生の教育環境の格差への対応は不可欠だからだ。
 だが、格差・・・