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政治

岸田総裁誕生の「内幕」

私欲と私怨が絡まった「党内抗争」

2021年10月号

「岸田文雄くんが当選者と決定しました」
 九月二十九日午後三時過ぎ、自民党総裁選の会場となった東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪、飛天の間に「ホーッ」というため息交じりの声が広がった。一年前の総裁選は官房長官だった菅義偉の勝利が約束されており、セレモニーの印象が拭えなかったが、今回の総裁選は予測不能の中で投開票日を迎えた。まさしく真剣勝負だった。一回目の投票では決着せず決選投票に持ち込まれた。一回目が終わってから二回目の投票までの時間はわずか。考える暇もなく決選投票の議員点呼が始まった。
 立候補者は四人。行革担当相河野太郎、自民党前政調会長岸田文雄、前総務相高市早苗、そして幹事長代行の野田聖子だった。候補者数の多さもさることながら自民党の長老、実力者たちの権力への執着が、次から次へと新たな軋轢、摩擦を生んだ。とりわけ前首相安倍晋三と後継者でもあった首相菅義偉の近親憎悪と言える屈折した感情は怨念となって沈殿した。

菅の「河野担ぎ」に安倍の憎悪
 
 そもそも安倍の総裁選への介・・・