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連載

新大学評判記 第22話

「オンライン留学」の意外な効能

2021年10月号

 在学中の海外留学を売り物にする日本の大学がこの十数年で急増したが、コロナウイルス感染で海外渡航が困難になり、留学プログラムは存立の危機に立たされた。急場しのぎの対策として早稲田大学、関西学院大学など多くの大学が打ち出したオンライン留学が「想定外の効果」を発揮し、アフターコロナの時代にもリアル留学とともに定着しそうな勢いを見せ始めた。英語を中心とする語学では現地の教室での講義よりもオンラインの方が出席率や課題への取り組みで「学生が熱心」(大学関係者)だからだ。
 国公私立を問わず、日本の大学の留学プログラムには、①海外提携校との単位互換を含む長期留学②学部単位で定める必修科目としての短期、長期留学③外国政府、国際機関などが提供する資金による公費留学④私費や特定奨学金を使った個人留学―などがある。
 昭和の時代の留学は学生個人が自分の条件に合う大学を探し、志望動機や自己アピールのエッセイを書き、TOEFLなど英語能力試験のスコアを添付し志望大学に国際郵便で送付、合格の返信をひたすら待つというプロセスだった。一九九〇年代末以降、留学情報はインターネットで得られるようにな・・・