トヨタ「パラ選手村事故」の醜悪
危険な自動運転を強行した「人災」
2021年10月号
一人のパラリンピック選手の夢がトヨタによって絶たれた。八月二十六日にパラ選手村でトヨタ自動車の自動運転車「e-Palette(eパレット)」が視覚障害の柔道に出場予定だった北薗新光選手(アルケア所属)と接触し、頭と両足に全治二週間の傷を負わせる人身事故を起こしたのだ。北薗選手は二日後の試合を欠場することに。選手生命を左右する重大な人身事故を起こしたトヨタの豊田章男社長は、自前の動画サイト「トヨタイムズ放送部」で事故を謝罪した。が、内容は「トライアスロンのトヨタ7」と題する番組の冒頭で事情を説明し、オンラインで参加した記者の質問に答えただけ。同社サイトにアクセスしてもどこに謝罪動画があるのか分からず、「火消し」のための謝罪にしか見えない。
大会組織委員会も事故を当日に把握しながら、翌日開かれた定例会見では「輸送について大きな問題はない」と虚偽報告。翌々日の会見では「事実関係の確認にかなり時間を要した。いまだに確定していないことがあり、どこまで何を伝えられるか苦慮した」と釈明した。国際パラリンピック委員会の広報責任者に至っては「いま結論は出せないが、自動運転車が通過する時に選・・・
大会組織委員会も事故を当日に把握しながら、翌日開かれた定例会見では「輸送について大きな問題はない」と虚偽報告。翌々日の会見では「事実関係の確認にかなり時間を要した。いまだに確定していないことがあり、どこまで何を伝えられるか苦慮した」と釈明した。国際パラリンピック委員会の広報責任者に至っては「いま結論は出せないが、自動運転車が通過する時に選・・・