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経済

《地方金融の研究》南日本銀行

無謀な大型増資後の暗い将来

2021年10月号

 差し詰め「ミニ奉加帳増資」といったところか。今年九月三十日に総額八十五億円にのぼる第三者割当増資に踏み切った南日本銀行。地元鹿児島県内の有力企業や取引先企業など三十三社・団体に普通株への一斉転換権の付いた優先株計八十五万株を割り当てた。
 最大の引受先となったのは九州フィナンシャルグループ(FG)傘下で、県内トップバンクの鹿児島銀行だ。日頃は融資や投資信託・保険などの金融商品販売を競い合う間柄でもあるが、「地域経済の下支えと域内金融秩序の安定に資する」(鹿児島銀関係者)として、全体の一一%超に当たる十億円を拠出した。
 次いで多かったのが人材育成事業などを行っている一般財団法人で普通株の上位株主でもある岩崎育英文化財団と、建設資材などを取り扱う地元商社の南国殖産でそれぞれ五億円。「超低金利が続く中、有価証券運用の一環とみなして引き受けた」(岩崎育英文化財団筋)としている。とはいえ今回の優先株の配当利回りは年一・七五%。これに対し東証一部上場全銘柄の配当利回りは加重平均で
およそ一・八一%(実績ベース)。予想利回りだと一・九%を上回る。とりわけ有利な運用手・・・