《罪深きはこの官僚》 福島靖正(厚生労働省医務技監)
子宮頸がん予防接種 再開の「障壁」
2021年10月号
厚生労働省の官僚に個別に意見を聞けば、ほとんど全員が子宮頸がん(HPV)ワクチンについて、「接種勧奨を再開すべき」と回答する。しかし組織になると、途端に煮え切らなくなる。結果として、二〇一三年六月に積極的接種勧奨が差し控えられてから、八年以上が経過した。この間の接種率は一%未満と、世界最低水準に低迷。ブレーキになっているのは、厚生科学審議会に設置された「予防接種・ワクチン分科会」の副反応検討部会だ。新型コロナが登場するまでは、ここが明確な結論を出すのを避け、勧奨再開を阻んできた。
政局の陰に隠れてしまったが、この間、田村憲久厚労相がHPVワクチンを巡って右往左往した。八月三十一日の会見で、同ワクチンに言及。「すわ再開か」という報道もされたが、一方で田村大臣は、審議会の議論について、「十月からの開始は難しい」と後ろ向きの姿勢を示していた。背後には官僚の意向が働いている。同省担当記者が語る。
「厚労官僚の習い性で、観測気球を上げるが、その反応を見て再度、話を後退させる。HPVワクチンがその最たる例」
九月十七日の会見では田村大臣が一転して、十月からの審議・・・
政局の陰に隠れてしまったが、この間、田村憲久厚労相がHPVワクチンを巡って右往左往した。八月三十一日の会見で、同ワクチンに言及。「すわ再開か」という報道もされたが、一方で田村大臣は、審議会の議論について、「十月からの開始は難しい」と後ろ向きの姿勢を示していた。背後には官僚の意向が働いている。同省担当記者が語る。
「厚労官僚の習い性で、観測気球を上げるが、その反応を見て再度、話を後退させる。HPVワクチンがその最たる例」
九月十七日の会見では田村大臣が一転して、十月からの審議・・・