Book Reviewing Globe 449
民主主義「活性化」の必須条件
2021年10月号
民主主義の危機が叫ばれて久しい。いや、そうした声は民主主義が誕生したときから叫ばれてきたと言った方が正確かもしれない。
それでも、二〇一〇年代以降、中国の国家専制主義の挑戦と欧米の国内政治の大分断、そしてグローバル化と技術革命(とりわけSNSとAI)に駆動、増幅された格差と社会亀裂の激化が相まって民主主義のあり方やパフォーマンスが根底から問われている。
民主主義の危機を象徴的に示すのが、選挙で負けた方がその結果を認めず、円滑な政権交代を阻んでいるケースである。二〇〇〇年の米大統領選挙では最後の段階で民主党のアル・ゴアが敗北宣言をしたことでかろうじて危機は封じ込められたが、二〇年は共和党のトランプが敗北を認めず、二一年一月のトランプ支持者の米議会占拠という憲政危機をもたらした。背景に、民主、共和双方の相手に対する憎悪と政治の大分断がある。
より構造的な問題として、民主主義に不可欠な「言論の自由」「集会の自由」「結社の自由」の機能を促進する仲介パワーの役割を担ってきたメディアと政党が機能不全に陥っていることがある。
メディアにおいては、政治・・・
それでも、二〇一〇年代以降、中国の国家専制主義の挑戦と欧米の国内政治の大分断、そしてグローバル化と技術革命(とりわけSNSとAI)に駆動、増幅された格差と社会亀裂の激化が相まって民主主義のあり方やパフォーマンスが根底から問われている。
民主主義の危機を象徴的に示すのが、選挙で負けた方がその結果を認めず、円滑な政権交代を阻んでいるケースである。二〇〇〇年の米大統領選挙では最後の段階で民主党のアル・ゴアが敗北宣言をしたことでかろうじて危機は封じ込められたが、二〇年は共和党のトランプが敗北を認めず、二一年一月のトランプ支持者の米議会占拠という憲政危機をもたらした。背景に、民主、共和双方の相手に対する憎悪と政治の大分断がある。
より構造的な問題として、民主主義に不可欠な「言論の自由」「集会の自由」「結社の自由」の機能を促進する仲介パワーの役割を担ってきたメディアと政党が機能不全に陥っていることがある。
メディアにおいては、政治・・・