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習近平「三期目」人事を巡る攻防

「死ぬまで最高権力者」への道筋

2021年9月号

 中国共産党の最高指導部が長老たちと非公式に意見調整する恒例の北戴河会議。来年秋の第二十回党大会での新たな人事構想が主要議題だったが、新型コロナ変異株が中国十七省・市に拡大する惨事となり、担当の孫春蘭・副首相(政治局員)が発生源となった南京入りを強いられるなど、地方担当の政治局員が持ち場を離れられない異例の開催になった。
 長期政権を確実にしている習近平総書記だが、病床の江沢民・元総書記に代わる江派代理人=曾慶紅・元国家副主席や共青団派の領袖=胡錦濤・前総書記ら長老たちからは予想を超える手厳しい叱正・批判を受けた模様だ。
 膠着状態が続く史上最悪の米中関係の打開策や、IT関連企業潰し政策の真意追及、鄭州(河南省)での大洪水惨事やコロナ禍再拡大による責任追及に加えて経済的打撃への回避などが焦眉の課題だ。
 改革・開放以降では前例のない三期目に突入し“習王朝”のスタートを控える習は長老との間で人事構想をなんとか固めた模様だ。

常務委員の「総入れ替え案」

 会議・・・