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社会・文化

ワクチン接種者は経済を回せ

欧米の「新常態」に逆行する日本

2021年9月号

「東京での人流を緊急事態宣言前比五割削減する」「百貨店地下の食品売り場やショッピングモールへの人出を強力に抑制する」。新型コロナ「第五波」のまっただ中の八月十二日、政府のコロナ感染症対策分科会が出した緊急提言だ。これにどれだけの効果があり、どれだけ経済的な損失が生じるのか。具体的な検討はなされていない。科学的、合理的な理由も医学的なエビデンスもない規制で、国民の政府への信頼は失われ、独り負けの日本経済はさらに低迷しかねない。
 欧米では規制緩和が加速している。英国では七月十九日、「社会的距離の確保」「公共の場でのマスク着用などの義務」「屋内外での集会の人数制限」など、ほぼ全ての規制を解除した。フランスでは、六月九日から外国人観光客の受け入れを再開し、七月中旬には、イベントや集会の定員規制が撤廃された。
 ワクチン接種が進み、集団免疫の獲得で感染が収束しているからではない。 
 デルタ株の世界的拡大により、日本よりはるかに接種が進んだ先進国でも感染収束の目途は立っていない。G7ではフランスを除く六カ国で感染者は増加している。
 欧米の規制緩和の理由・・・