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連載

日本の科学アラカルト 133

高機能の「焼き物」を作る セラミックス研究の可能性

2021年9月号

 セラミックスといえば、狭い意味では陶器や磁器などの焼き物のことを意味する。無機物を加熱することで焼き固めることができる材料で、金属材料や有機材料とは異なる性質を持つ「第三の材料」と言える。
 一般に想像されるような陶磁器だけでなく、ガラスや石膏、セメントなどもセラミックスのカテゴリーに分類される。また「ファインセラミックス」と呼ばれる、工業用途で生産され、特定の性質を持つものもある。
 焼き物文化が根づいてきた日本では、セラミックスの生産が古くから行われ、世界的なメーカーもある。そうした中で、多くの研究者が次世代のセラミックス開発に向けた研究を行っている。
 セラミックスの一般的な特性は、硬度が高く、耐熱性に優れているというところだ。また、他の物質からの影響も受けにくい、化学的安定性にも優れている。一方で、陶磁器などを考えればわかるように、脆くて壊れやすい。専門的には「脆性破壊しやすい」と言うが、この欠点を克服するのが、セラミックスのひとつの研究分野だ。
 セラミックスの脆弱性を克服するひとつの手段が、異種材料と組み合わせることで、強度を上げた・・・