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経済

新疆「奴隷労働」に甘い日本企業

親中「人権軽視」で払う代償

2021年9月号

 中国の新疆ウイグル自治区で生産される綿花が世界のアパレル業界を大混乱に陥れている。「新疆綿」が習近平政権に弾圧されるウイグル族の強制労働で生産されている疑いがもたれ、アパレル大手が米欧当局や人権団体から輸入禁止やボイコットを求められているからだ。中国を有力市場、生産拠点とする日本のアパレル各社は毅然として新疆綿排除に動けず、沈黙や中途半端な対応にとどまっており、今後、中国と米欧の双方から攻撃されるリスクがある。新疆綿問題は米中冷戦下での対中ビジネス戦略の試金石といえる。
「畑や作業者のプロフィール、人員計画を把握し、栽培スケジュールに合わせて第三者機関を現地に派遣し、昨年も監査を行った」。新疆綿で矢面に立たされる企業のひとつ、「無印良品」を展開する良品計画は新疆綿問題が国際化した四月、こう説明した。
 一見、隙のない模範回答にみえるが、新疆の農作業現場を知る中国人専門家は首をかしげる。良品計画は五千ヘクタールの綿花畑と契約し、オーガニックかつ人権に適った手法で生産している、と主張する。だが、新疆の綿花畑は緩い丘陵地帯に広がっており、日本の田園地帯のように区画が明確・・・