二階俊博「終身幹事長」への強欲
「菅支持」の裏に秘めた計略
2021年9月号
新型コロナウイルス対策を巡る奪権闘争を「コロナ政局」と呼ぶなら、九月の自民党総裁選は「第二ラウンド」に相当する。「第一ラウンド」は昨年春の現金給付策を巡る対決だった。
安倍晋三前首相も認める「ポスト安倍」筆頭候補だった岸田文雄政調会長(当時)が主導する形でいったん閣議決定までされた「所得減世帯に三十万円」が、公明党の反対で「全国民に一律十万円」へひっくり返された一件だ。
メンツ丸潰れのピエロと化した岸田氏は、これで「ポスト安倍」の資格を失う。代わって菅義偉官房長官(同)が急浮上し、安倍氏辞任後の首相の座を奪った。菅氏は元々「三十万円」派だったが、急激に反転した政策決定の逆流を素早くとらえ、「十万円」派に乗り換えたのだ。岸田氏に花を持たせようとお膳立てした安倍氏と麻生太郎副総理兼財務相は、岸田氏が一転泥にまみれるぶざまな姿を呆然と見ているばかり。「岸田じゃダメだね」と思惑外れを認め、菅氏の権力奪取を支持しなければならない羽目になった。
それにしても、閣議決定済みの補正予算組み替えという旧来の慣行ではあり得ない政策転換を安倍氏が渋々呑まされ・・・