《私はやっていない。何も知らない》
ウサマ・ビンラーディン（「アルカーイダ」創設者）


　ウサマ・ビンラーディンという名前を覚えたのは、一九九八年八月のことだ。英国の田舎をドライブしている時、ＢＢＣの臨時ニュースが入った。「ケニア・ナイロビで米大使館が爆破された」という。次に「新しいニュース」として、タンザニア・ダルエスサラームの米大使館が爆破されたという。
「確かですか？　ケニアではないのですか？」
「いや、別の爆破事件です」
「二件、同時にケニアとタンザニアで起きたのですか？」
　ＢＢＣも戸惑っていた。やがて、容疑者として「ビンラーディン」という名前を聞き、大規模同時テロの男として、記憶に残った。
　三年後の九月十一日。米同時多発テロ事件が起きた時、筆者はモスクワ支局にいた。支局でＣＮＮテレビを見ていたところ、ニューヨークの世界貿易センターの北棟に「飛行機が衝突した」という速報が入った。映像は、もうもうと煙を立てる現場に切り替わった。
　視聴者は次・・・