アストラゼネカ「粗悪説」の真相
「英国憎悪」EUの深い罪
2021年9月号
こんなはずではなかったのに……。英製薬大手アストラゼネカで新型コロナウイルスのワクチン開発に携わった関係者らは失意のどん底にいるはずだ。低価格で管理も容易な同社製ワクチンは途上国にも普及させやすく、「世界の救世主」となるはずだった。それがいまや「二級ワクチン」として扱われ、同社はワクチン事業存続の是非を検討する事態にまで追い込まれている。その評判を不当なほどに貶めたのは、欧州連合(EU)の政治家らによる「ネガティブ・キャンペーン」だと言ってもいい。
昨年十二月以降、英国やEU、世界保健機関(WHO)から承認を受けたアストラ社製ワクチンは、当初から欧州で安全性や効果を巡る論争の的となった。詳しくは後述するが、このワクチンに対する批判には、科学的根拠があいまいで、いいがかりに近いものもあった。だが、欧州各国政府は同社製のワクチン使用を制限したり、打ち切ったりするなどの対応を取り、人々には「アストラ社製ワクチンは安全性や効果が低い」とのイメージが植え付けられた。
途上国の人命喪失を招く
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昨年十二月以降、英国やEU、世界保健機関(WHO)から承認を受けたアストラ社製ワクチンは、当初から欧州で安全性や効果を巡る論争の的となった。詳しくは後述するが、このワクチンに対する批判には、科学的根拠があいまいで、いいがかりに近いものもあった。だが、欧州各国政府は同社製のワクチン使用を制限したり、打ち切ったりするなどの対応を取り、人々には「アストラ社製ワクチンは安全性や効果が低い」とのイメージが植え付けられた。
途上国の人命喪失を招く
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