米国「ワクチン政争」が過激化
共和党の抵抗で接種に大ブレーキ
2021年9月号
新型コロナウイルス感染防止をめぐって、米国各地で激しい争いが起こっている。公共の場でのマスク着用やワクチン接種をめぐり、双方の「義務化」を求める人々と、これに「絶対反対」を唱える人々が、ののしり合い、乱闘騒ぎを起こすのだ。中には飛行中の機内で殴り合う事例も増えている。
ジョー・バイデン大統領の号令の下、一時は猛烈な勢いでワクチン接種が進んだが、抵抗勢力のおかげで接種ペースは大幅に鈍化。八月半ばには、新規の感染確認が一日で十五万人前後と、感染拡大が深刻化している。
ワクチン供給不足で悩む国々にとって、いささかバカバカしい争いの背景には、お馴染みの「民主党対共和党」の対立図式がある。
「反ワクチン産業」が確立
米国発のSNS動画は最近、アクション映画のようだ。飛行機の出発前に、「マスク着用をお願いします」と頼む乗務員に暴力を振るい、警察が出動するのはすっかり見慣れた風景だ。
最近は飛行中に、マスクを着けない乗客と、これを注意する乗客が乱闘になったり、マスクを着け・・・