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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》再生エネ「乱開発」の闇

熱海は「序章」凄まじき国土荒廃

2021年8月号

 異名とは裏腹に、“逆襲弁護士”の口吻は穏やかだった。
「盛り土のことは知らなかった。だいたいあの土地には一切手を付けていません」
 七月三日、静岡県熱海市の伊豆山で発生した土石流災害―。五万五千立方メートルを超える土砂は百三十一棟の家屋を呑み込み、死者・行方不明者を合わせ二十八人が犠牲になった。テレビやインターネットに映し出された土石流の破壊力は凄まじい。視聴者は息を呑んだが、その後、崩落現場の土地所有者を代弁しメディアに登場した人物を見て、さらに驚いた人々も少なくないだろう。
 河合弘之氏―。かつてダグラス・グラマン事件、平和相互銀行事件、イトマン事件など数々の大型経済事件を手掛けた辣腕の弁護士である。不利な立場の被告を一転勝訴に導くその法廷戦術の切れ味は鋭く、“逆襲弁護士”と呼ばれた。しかし、近年は反原発活動の闘士のイメージが強い。
 福島第一原発事故当時の東京電力の経営陣五人を相手取った株主代表訴訟をはじめ、全国の原発の運転差し止め訴訟を主導する河合氏に、喝采を送る市民団体やメディアは多い。・・・