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連載

《世界のキーパーソン》李在明(京畿道知事)

大統領を目指す「韓国のトランプ」

2021年8月号

 来年三月に行われる韓国大統領選。与党陣営で現在、支持率トップの座を李洛淵元首相と激しく争っているのが、李在明京畿道知事だ。国会議員もやらず、地方自治体の長を務めながら、大統領の座をうかがうまでになった李在明氏の特徴は、政敵を一刀両断にする激しい言動。ついたあだ名が「韓国のトランプ」だ。
 城南市長だった二〇一六年十一月、日本との「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を結んだ朴槿恵大統領を「売国奴」と非難。今年七月二十二日、韓国・中央日報とのインタビューでは「日本が独島(竹島)をなぜ繰り返し問題にするのか。いつか大陸に進出する時、トリップワイヤー(仕掛け線)にするためではないだろうか」と決めつけた。韓国の政界でも、激しやすい性格について「大統領として国政を任せるのは危うい」と懸念する声が出るほどだ。
 一九六四年、慶尚北道安東市生まれ。家庭は貧しく、親族との間で諍いが絶えなかったため、スキャンダルとしてたたかれたこともある。それでも、苦学して弁護士になり、城南市長、京畿道知事と着実に地歩を固めてきた。この人生が、李在明氏の政治信条に大きな影響を与えた。
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