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社会・文化

大学病院「コロナ補助金バブル」

繰り返す「医療逼迫」の真因

2021年8月号

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策での最優先事項は、医療崩壊を防ぐことだ。特に重症患者を治療する高度医療機関が崩壊すれば、本来なら救命できるはずの多数の命を失うことになる。
 コロナ対策が難しいのは、流行下では高度医療機関の経営が悪化することだ。心筋梗塞や脳卒中など緊急に治療が必要な疾患を除き、がんをはじめとした待機可能な病気の治療は後回しにされる。
 さらに、コロナ患者を受け入れれば、他の患者が受診を回避する風評被害も生じるし、院内感染が起これば、病棟閉鎖に追い込まれる。六月二十二日、全国医学部長病院長会議は、前年度と比べ、二〇二〇年度の外来は九・二%、入院は九・六%患者数が減り、総額二千六百十九億円の赤字だったと発表した。赤字幅は前年度の約二倍だ。
 このような事実を知ると、コロナ治療の最前線に立つ(はずの)大学病院に同情する読者も多いだろう。ところが、実情は全く異なる。それは、政府が巨額の補助金で大学病院を支援するからだ。例えば、六月一日、全国医学部長病院長会議は、緊急包括支援事業として、三月末までに一千四百七十二億円が支払われたと報告している・・・