三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

日本はサイバー犯罪の「楽園」

防御力「世界最低レベル」の烙印

2021年8月号

 六月二十五日、東京五輪の運営に関わる日本オリンピック委員会(JOC)が、大規模なサイバー攻撃を受けていたと発表した。
 一年以上も前にランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の攻撃を受け、事務局のコンピューターの七割が破壊されていた。だが、「金銭の要求」などが確認できなかったため、関係機関に情報共有すらしていなかった。この常識外れの判断は、数ある五輪不祥事の一つに挙げられるべきだろう。
 米ITベンダーの在日幹部は、「JOC内部に侵入されたはずで、気づかないうちに情報が根こそぎ盗まれていたとも考えられる。関係各所への攻撃の踏み台になったことも想定すべき」と嘆く。
 この幹部はさらに、世界のサイバー攻撃が巧妙化しているのに、日本のサイバーセキュリティ対策のお粗末さには「辟易する」と言い放つ。確かに、日本は世界からおいていかれている現実がある。

攻撃は「お手軽」で格安に

 最近のサイバー攻撃はレベルが格段に上がっている。サイバー攻撃はカネになるとわかっているため、犯罪組織などは、例え・・・