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経済

プリウス「衝突回避装置」に重大欠陥

リコールしないトヨタの不可解

2021年8月号

 まさに「安全神話」の崩壊だ。トヨタ自動車は七月七日、ハイブリッド車(HV)「プリウス」の衝突回避支援システムに問題が見つかったとして、国土交通省に「改善対策」を届け出た。対象となる台数は二〇二〇年六月十七日から二一年六月一日までに製造された四万九百四十一台と多い。トヨタは不具合件数や事故はないと報告しているが、そうであったとしても問題は深刻だ。
 届出によると「衝突回避支援システム(プリクラッシュセーフティシステム)において、プリクラッシュブレーキアシスト制御プログラムが不適切なため、前方に衝突の可能性がある車両を検知した際、警報および警告表示は正常に作動するが、運転者のブレーキ踏力が弱いと、ブレーキアシスト作動が遅れる場合がある」という。
 衝突回避支援システムは、ドライバーや搭乗者の生命を守る「最後のとりで」。そこに問題があれば、重大な交通事故につながる。国民的ヒット車の「プリウス」だけに、ドライバーには非力な高齢者や女性も多く、「ブレーキ踏力が弱いと、ブレーキアシスト作動が遅れる場合がある」ようでは安全対策にならない。

不具合告知に消極的・・・