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イランが亡命活動家に異様な「粛清」

各国で「拉致事件」が続発

2021年8月号

 米ニューヨーク市で今年七月、同市在住で米国籍を持つイラン人女性を誘拐する犯罪計画が発覚した。企んだのはイラン治安当局で、この女性の言論活動を封じるのが目的だった。
 イランは近年、海外在住の政府批判派を相次いで拉致し、イランに連れてきて死刑執行するという、無法で悪辣な政敵弾圧を続けている。外交舞台では「イラン核合意」が話し合われている時期だというのに、米国の主権を歯牙にもかけない傍若無人ぶりだ。
 誘拐未遂事件を発表した連邦捜査局(FBI)の幹部は、「ありえない筋立ての映画のようだ」と表現した。イラン政府関係者なら、入国時からFBIや中央情報局(CIA)にマークされる。それなのに、ニューヨークで米国市民を拉致しようとしたのだから、捜査関係者もあきれるばかりだ。

本国に連れ戻されて「死刑」に

 狙われたのは、四十四歳のマシフ・アリネジャド氏。十代の後半から政治活動、記者活動を始め、イラン体制のウソ、偽善、大規模腐敗を告発し、たびたび逮捕された。「イスラム革命」を看板にする権力者がいかに、私・・・