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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》ワクチン「忌避者」

集団免疫を妨げる「反対運動」

2021年7月号

「感染を防止し収束へ向かわせる切り札が、ワクチンです。世界の国々でもその効果ははっきりと表れております」
 五月二十八日、菅義偉首相は記者会見で語った。新型コロナウイルスのワクチン接種は、わが国にとって最優先課題だ。政府は、自治体による集団接種に加え、企業による職域接種や医療機関の個別接種を推し進め、集団免疫のめどといわれる人口の七割以上への接種に全力をあげている。ここで最大の障害は「反ワクチン運動」だ。
 ワクチンの危険性や陰謀論を声高に叫ぶ反ワクチン運動は国民を不安に陥れる。利権も絡む。一旦、運動が広まれば、政府や専門家がいくら説明しても無駄だ。二〇一三年のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの副反応騒動などが典型といえる。厚生労働省は積極的接種勧奨をやめ、七〇%を超えた接種率は一%を下回った。コロナワクチン接種が、その二の舞となりかねない。

躊躇と「拒否率」が高い日本

 現在、世界の大国で、接種が最も進んでいるのは英米だ。六月十五日現在、少なくとも一回ワクチンを打った国民の割合は・・・