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政治

骨抜きになった民放地方局「再編提言」 水面下で放送族議員が綱引き

2021年7月号


 ネットでの動画配信が広がる中で地方民放局の存在意義が揺らいでいる。その将来像について、自民党の元総務相、石田真敏議員が六月に政府に提言するという噂が民放業界に流れ、「どこまでドラスティックなものになるか各局が戦々恐々とした」(民放関係者)。
 しかし、そこで石田提言に〝圧力〟をかけたのが、自身も総務相を務めた佐藤勉党総務会長だったという。佐藤氏は地方を回りながら、ローカル局の考えを直接聞いたことで、再編を穏健に進める方針になった。これを意識したためか、明るみに出た石田提言は「差し障りのない骨抜きされた内容になっていた」(前出関係者)。後輩の石田氏が先輩の佐藤氏に忖度した格好だ。
 とはいえ、佐藤氏にもローカル局が各県ごとにしか番組を放送できない「県域免許」を見直すべきとの持論があり、「自らが再編を進めたいがために石田氏の提言を踏み潰しただけ」との観測もあり、地方局の不安の種は尽きない。・・・