日本の科学アラカルト 131
二酸化炭素から有用物質を合成 「厄介者」を変身させる技術
2021年7月号
物議を醸しながらも観客を入れて開催される予定の東京オリンピック・パラリンピックは、二酸化炭素(CO2)の排出量が実質ゼロの大会になる。組織委員会は、CO2排出量の取引制度を使って、東京都と埼玉県から約四百四十万トン分の「排出枠」の提供を受けている。大会運営を通して約二百七十万トンのCO2が排出される見込みだが、排出枠の範囲内に収まるために、「実質ゼロ」どころか排出量はマイナスになる。これで持続可能性というテーマに配慮したと胸を張る点には賛否あるだろうが、世界の潮流を考えればむべなるかな。二〇五〇年の二酸化炭素排出量を一三年比で実質ゼロにするために、日本政府は三〇年までに四六%削減するという目標を掲げた。
これまで以上の省エネはもちろん、排出枠を活用した取り組みも必要になる。もうひとつ考えうる手段が、CO2を空気中に棄てずに回収して再利用しようという試みである。
メタノールは工業的にも重要なアルコールの一種で、CO2を原料として作ることができる。銅触媒を使った合成方法ではすでに商用プラントが作られているが、その規模は限定的で、いまだ発展途上の技術と言える。{br・・・
これまで以上の省エネはもちろん、排出枠を活用した取り組みも必要になる。もうひとつ考えうる手段が、CO2を空気中に棄てずに回収して再利用しようという試みである。
メタノールは工業的にも重要なアルコールの一種で、CO2を原料として作ることができる。銅触媒を使った合成方法ではすでに商用プラントが作られているが、その規模は限定的で、いまだ発展途上の技術と言える。{br・・・