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経済

彷徨える原発廃棄物「地層処分」問題

担当機関「NUMO」は無能の極み

2021年7月号

 かつての“国会の野次将軍”の獅子吼は衰えていなかった。
「あんた、もっとしっかりやってくれ!」
 北海道維新の会代表の鈴木宗男は四月、原子力発電環境整備機構(NUMO)の理事長・近藤駿介を呼び出し、こう発破をかけた。鈴木の地盤である北海道の寿都町と神恵内村で、NUMOが昨年十一月から始めた高レベル放射性廃棄物の地層処分の「文献調査」をめぐり、地元が賛成・反対半ばする混乱に陥っている事態の責任を質したのだ。これに、東京大学名誉教授の近藤は心外とばかり反論、面談は険悪なまま終わったという。
 鈴木の発破の意味は何か―。地層処分は従来、自民党北海道連会長の元農林水産相・吉川貴盛が調整に当たってきたが、一月、鶏卵会社からの収賄罪で起訴され失脚した。この機を捉え、「俺の出番だ」と恫喝まがいの示威に動いたのが鈴木である。が、学者の近藤にその対応ができるわけがない。電力業界の怨嗟は大きい。
「鈴木宗男を敵に回してどうするんだ。なぜ藤さんは同席しなかったのか」
 藤さんとは、関西電力元社長でNUMO副理事長の藤洋作。腰の低い藤・・・