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ブラジル経済の意外な「回復」

政治不安の中での「力強い成長」

2021年7月号

 累計死者は五十万人を超え、米国に次ぎ世界二番目となり、コロナ感染が吹き荒れるブラジル。パンデミックによる孤児は七万人ともいわれる。「経済優先」を掲げたボルソナロ政権のコロナ対応を批判する抗議デモが各地で開かれ、支持率は低下し続ける。四月の調査では「世帯の六割が食料に不安を抱えている」という結果に衝撃が広がった。「コロナ」「貧困」「極右」の切り口でブラジルを見れば絶望的だ。だが、経済には回復の兆しがみられ予想をはるかに超える成長をみせる可能性がある。
 足元の状況をみていこう。昨年の実質GDP成長率はロックダウン反対を掲げただけに、マイナス四・一%と近隣諸国と比較すると落ち込みが少なかった。コロナ支援策に関しては、昨年四月に始まったプログラムで貧困層に対して月額六百レアル(約一万三千四百円)を給付してきたが、十二月で打ち切ったこともあり、失業率(第1四半期)は統計開始以来最高となった。給付金は今年四月に再開したが、給付対象の範囲を絞り、給付額も減額している。
 一~三月のGDPは市場予想を超えて前年同月比一・二%成長し、パンデミック前の水準にまで回復した。このGDP・・・