三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

米国がプーチンを脅す「機密情報」

モスクワ「連続爆破事件」の暗部

2021年7月号


 六月十六日にジュネーブで行われた米露首脳会談は、米側の目的からすれば、「本丸・中国との対決に専念するので、脇役のロシアはおとなしくしてくれ」ということだろう。バイデン大統領が会談のキーワードに挙げた「予測可能で安定した米露関係」とは、プーチン政権の暴走を防ぐ意味合いがある。ロシアへの抑止力が限られる中で、米政府内で浮上しているカードが、プーチン政権発足時の最大の闇である「一九九九年モスクワ・アパート連続爆破事件」の情報公開だ。
 今回の首脳会談は、バイデンが四月十四日にプーチンとの電話会談で提案して実現したが、米政府内ではまだ対露政策見直しが終わっていなかった。唐突な開催提案は、ロシアが冒険主義的な行動を重ねたためだ。
 ウクライナ東部の武力衝突が再燃する中、ロシア軍は三月中旬からウクライナ国境地帯に十万人以上の兵力を投入して軍事演習を実施。新たな侵攻の懸念が強まった。兵力増派は、バイデンがプーチンを「殺し屋」呼ばわりした直後のタイミングで始まった。

自作自演という疑惑

 米・・・