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社会・文化

有機農業「50倍計画」の無謀

農水省の欺瞞で揺らぐ「食の安全」

2021年6月号

 農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を策定した。農林水産分野の二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を二〇五〇年までに達成するため、化学農薬の使用量半減、化学肥料の使用量三〇%削減、有機農業の農地面積を全耕地の二五%に当たる百万ヘクタールに拡大―などの数値目標を盛り込んだ。
 意欲的な目標は評価したいが、有機農業が実践されている農地は現状では〇・五%(一八年度)にとどまっており、目標達成には「勇気百倍」ならぬ、「有機五十倍」に引き上げなくてはならない。
 しかし、これまで各地で小規模ながら草の根的に実践されてきた有機農業を、「経営の効率化・規模拡大」という農水省の政策によって押し潰してきたのが実態だ。
 北関東のある農家は「有機が重要と語る政治家、役人、ジャーナリストは多いけれど、彼らが本物かどうかは、ゴルフが趣味かどうかですぐ分かる」と断じる。ゴルフ場のほとんどが河川の上流にあり、芝生用の除草剤が下流に流れ込む。極めて微量でも農業用水に除草剤の成分が混ざれば、「有機」の看板を降ろさなくてはならない。「目に見えない」という点で放射性物質と・・・