ワクチン開発競争はさらに「激化」
注射不要「経鼻・経口」型に期待大
2021年6月号
新型コロナウイルス(以下、コロナ)ワクチンの集団接種が混乱している。市町村には電話が殺到し、五月十七日から稼働し始めた大規模接種センターの予約システムでも不具合が生じた。多くの自治体が接種のための医師や看護師の確保に難航し、今頃になって薬剤師による接種を検討し始めた。政府は一日百万回の接種を目指し、七月末までに高齢者の接種を終了するというが、前途は多難だ。
四苦八苦する日本をよそに、ワクチン開発では多くの技術革新が実用化されようとしている。今後数年でワクチンは劇的な進化を遂げるだろう。
粘膜ワクチンでの争い
その一つが粘膜ワクチンの開発だ。表面積が広い気道や消化管の粘膜には、数多くの微生物が恒常的に存在し、微生物から人体を守る免疫組織が発達している。粘膜ワクチンとは、このような細胞を刺激することで免疫を獲得し、病原体の侵入を予防する。通常、経口あるいは鼻腔スプレーで投与される。注射が不要で、発熱や倦怠感などの全身性副反応が軽い。
粘膜ワクチンは一九八〇年代から研究が進み、実用化され・・・
四苦八苦する日本をよそに、ワクチン開発では多くの技術革新が実用化されようとしている。今後数年でワクチンは劇的な進化を遂げるだろう。
粘膜ワクチンでの争い
その一つが粘膜ワクチンの開発だ。表面積が広い気道や消化管の粘膜には、数多くの微生物が恒常的に存在し、微生物から人体を守る免疫組織が発達している。粘膜ワクチンとは、このような細胞を刺激することで免疫を獲得し、病原体の侵入を予防する。通常、経口あるいは鼻腔スプレーで投与される。注射が不要で、発熱や倦怠感などの全身性副反応が軽い。
粘膜ワクチンは一九八〇年代から研究が進み、実用化され・・・