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経済

JTB「国策救済」に正当性なし

「植民地」延命をごり押す国交省

2021年6月号

 大き過ぎて潰せない―。破綻した場合の影響の大きさから、国や金融機関が民間企業に手を差し伸べるケースはある。典型的なものは国有化の枠組みで生き残った日本航空(JAL)だろう。そのJALでさえ「なぜ国が救済するのか」という批判は多くあった。同じく国土交通省が所管する旅行業界トップのJTBへの救済策が検討されているが、JALの時よりも問題は大きい、と旅行業界紙の記者が語る。
「JTBの図体は大きいが、仮になくなっても代わりの業者はいくらでもある。潰したくないのは国交省だ」
 同省はその歴史的経緯からJTBとは切っても切れない間柄であるため、強引な延命策が模索されているという。

二階俊博幹事長と「親密」

 JTBの足元の業績は、過去最低である。非上場の同社は半期ごとの決算のみを発表しているが、二〇二〇年四~九月期の連結決算を見ると、売上高は前年同期比で八一%減の一千二百九十八億円にとどまった。半期の営業損益は七百十億円の損失、経常損益も五百八十億円の損失となった。JTBは昨年十一月時点で、通期の・・・