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メキシコ麻薬組織が「欧州進出」

中国原産「合成薬物」で大儲け

2021年6月号

 メキシコのカルテル(犯罪組織)が、ヨーロッパでの活動を急増させている。米国に比べて、取り締まりが緩い上に、麻薬がより高額で密売できるからだ。イタリアのマフィアのような既存の犯罪組織と手を組んだり、独自の麻薬密売・製造ルートを作ったりと、新型コロナウイルス禍での麻薬需要増大に、大儲けを企んでいる。

イタリア・マフィアとの結託

 昨年一月十一日のことだ。
 イタリア・シチリア島の中都市カターニアの空港で、同国財務警察の組織犯罪捜査班が、ある旅客機の到着を待っていた。
 捜査班がイタリア人内通者から得た情報では、メキシコ最大の犯罪組織「シナロア・カルテル」が、旅客機を使ってコロンビア経由で大量のコカインを運び込むという。
 受け取るのは、イタリアで現在最も羽振りがいいマフィア「ンドランゲタ」だ。
 捜査班がイタリア側の受取人の電話を盗聴していたところ、メキシコの保養地カンクンから確認の電話が入った。電話をしてきたのは、ホセ・アンヘル・リベラ。シナロア最高幹部の一人だった。{・・・