大和証券「SDGs」の大嘘
「石炭火力発電」事業で悪行三昧
2021年4月号公開
地元の反対派幹部は、強い義憤をにじませた。
「あれが大和証券の発電所だなんて誰も知りませんよ。本社所在地が東京と聞いて初めて分かった」
北海道釧路市―。かつての“炭鉱の街”で昨年十二月、運転開始した石炭火力発電所に環境団体の批判が巻き起こっている。
同石炭火力は地元の有力企業、釧路コールマイン(KCM、太平洋炭礦の後身)の国内炭を燃料に発電する地産地消プロジェクト。市長・蝦名大也の支援の下、蝦名の後援会長であるKCM創業者・中島太郎の肝煎りで進められてきた。一月は十一万キロワットの発電出力がフル稼働、多くの排煙が上がり、KCMの貯炭場からは一日百台以上のトラックが往来した。騒音は公害防止協定が定める七〇デシベルを超えたという。
実はこの釧路火力発電所の操業主体は、電気事業のインフラファンド、IDIインフラストラクチャーズであり、その五〇%の大株主が大和証券グループ本社なのだ。大和と言えば、「SDGs(持続可能な開発目標)」を社是に掲げ、グリーンボンドや環境関連投資信託の販売大手だが、表の顔とは裏腹に二酸化炭素を大量排出する石炭火力を密かに運営しているのである。反対派幹部が続ける。
「住民はKCMの発電所ならば仕方ないと排煙や騒音を我慢しているのに、本当は大和の発電所。昨年十一月、表へ出てこない大和の真意を問うべく、中田誠司社長宛てに質問書を送りましたが、梨のつぶてです」
当然と言うべきか。大和はIDIインフラの大株主ながら、すでに二百八十億円もの建中融資を実行した釧路火力から撤退を決め、世間の知らぬ間にファンドを解散しようとしているのだ。
その黒幕は大和の代表執行役副社長・松井敏浩、同じく常務執行役員・荒木秀輝の二人。いずれもIDIインフラの取締役であり、昨年十月、ファンドを率いてきた社長の埼玉浩史に対し、真偽不明のまま、投資先との不適切取引や不透明な経費使用などの疑いをかけて解職し、荒木が後を襲ったことは本誌二月号が報じた通りだ。しかし、事態は大和の思わぬ方向へ動く。
ヤマが外れた大和の“傍若無人”
「埼玉氏にはFパワー社長も辞めてもらいたい。今後はわれわれが経営を主導する」
IDIインフラ社長の荒木は二月二十六日、ファンド傘下の投資組合が七三%超出資する新電力大手、Fパワーを訪れ、社長・埼玉に辞任勧告を突きつけた。これが、後述する事態の引き金と言っていい。経緯を解説しよう。
発電所建設を進めるIDIインフラは、日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の埼玉を中心に設立され、その電力販売は事実上の子会社のFパワーが担ってきた。独自の料金体系で急成長したFパワーは一時、年四百万キロワットの顧客を獲得して新電力トップに立つ。そこへ電気事業投資でひとヤマ当てようと接近したのが大和である。二〇一六年、IDIインフラへ五〇%出資して松井、荒木は取締役に就き、Fパワーにも投資子会社の大和PIパートナーズを通じ、約一〇%資本参加した。
しかし、原発の停止に伴って一七年から日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が高騰、逆ざや販売に陥ったFパワーが債務超過の見通しになると、大和は豹変する。証券人の松井、荒木はヤマが外れたと思ったのだろう。発電所建設への資金支援を拒否し始める。さらに脱炭素機運の高まりを受け、大和のレピュテーションリスクを恐れ出したのだ。
幸いIDIインフラもFパワーも大和本体に連結されていない。経営責任を埼玉一人に負わせて追放し、その後、ファンドは解散、Fパワーは大和のグループ力に物を言わせて売り飛ばせば、大和本体の業績に何ら影響はない。実際、Fパワーの四百件近い法人顧客には大和の投資先である光通信が興味を示してきた。その売却交渉がまとまったので、荒木は埼玉に辞任を迫ったわけだ。事情を知る証券関係者は囁く。
「松井氏と荒木氏はおそらく、一月のJEPX暴騰も好都合だと冷笑していたに違いない」
その通り、発電燃料のLNG(液化天然ガス)不足に寒波が重なって現出した異常なスパイク相場の結果、Fパワーは電力会社へ支払うインバランス精算が最大二百億円にも膨らむ。二一年六月期は二度目の債務超過が避けられない状況なのである。Fパワーは三月三十一日に開く臨時株主総会で埼玉が退任、代わって社長に就く荒木はじめ大和側四人の取締役が選出される見通しとなった。
しかし、これは明らかな利益相反である。大和常務の荒木はIDIインフラ社長として投資先であるFパワーを支援する立場にあり、しかも、Fパワー社長も兼務するにもかかわらず、その義務を果たさないのだ。Fパワーは「大和に追加支援の意思はないのか」と繰り返し質したが、荒木の回答はこうだった。
「大和は一切関与しない」
「会社更生法」で逆襲のFパワー
「どういうことだ!」
荒木のFパワー訪問から一カ月後の三月二十四日、大和社内は大騒ぎになった。Fパワーが「会社更生法」の適用を東京地裁に申請し、受理されたからだ。
直ちに保全管理人に同法のプロである弁護士・富永浩明が指名された。Fパワーの過去の債権債務には保全命令が出て、更生手続きの過程で経営権や財産が処分される。Fパワーは一〇〇%減資される結果、株主であるIDIインフラ傘下の二号・三号投資組合、大和PIなどの権利は消滅するのだ。埼玉が退任するはずだった三十一日の臨時株主総会は意味がなくなったのである=次頁の表参照。
負債総額は、最大二百億円のインバランス精算を含めて四百六十億円を超える見通し。が、Fパワーは二一年六月期の決算を行えないため、債務超過には至らない。JEPXの会員資格は失効せず、決済能力がある限り電力の市場取引は継続できる。すでにFパワーには複数のスポンサー候補があり、債務を遮断し、石炭火力からも切り離されれば、身ぎれいな新電力に生まれ変わるだろう。
一九五一年の電力九社体制以来、新電力を含めて会社更生法を適用された電気事業者は一社もない。インバランス精算を踏み倒しての再生には批判もあるが、経済産業省にはJEPX暴騰を招いた電力自由化の制度不備の負い目もある。「最終需要家の保護のため、裁判所が更生開始を判断するなら異議は唱えない」という姿勢だ。まさしく奇策と言っていい。ある電力関係者は破顔した。
「大和の面目は丸潰れだ。売り飛ばすつもりだったFパワーに裏をかかれ、しかも、残された石炭火力をどうするつもりか」
実は件の釧路火力は“いわく付き”の発電所なのだ。その発電コストは一キロワット時当たり十四~十五円と高く、国内炭を燃料とする限り競争力はない。が、木質バイオ発電に一〇〇%転換できる循環流動層ボイラーを装備している。IDIインフラ社長を解職される前の埼玉が三号投資組合を募って着工したときは、いずれバイオ火力へ転換し、日本進出を目指すアジアのインフラ企業へ売却することを念頭に置いていた。
ところが一月、最高値二百五十一円を記録したJEPX暴騰が起きる。釧路火力が排煙と騒音をまき散らしてフル稼働したのも頷けるだろう。一カ月足らずで五十億円を超える売電収入を得た。これに大和は気をよくしたのだ。
釧路火力は、JFEエンジニアリングへ未払いの建設代金八十億円を五年で分割弁済することになっているが、大和は売電収入をそれに充てる一方、欲を出し、自らの建中融資二百八十億円を一部回収したとされる。当然、三号投資組合には売電のリターンは入らない。ここにも利益相反があるが、大和優先の組合運営を進めているのはIDIインフラ社外取締役の岩下正(ローソン銀行会長)。松井、荒木に抱き込まれ、埼玉追放に加担した元財務官僚である。しかし……。
覚悟なき“株屋”の電気事業
「しょせん彼らは素人」
社長の荒木はじめ松井、岩下のIDIインフラ取締役には、電力・ガス業界の嘲笑が響く。異常なスパイク相場に幻惑され、本来、好機であった発電所の売り時を逃したからだ。すでにJEPXのスポット価格は六~七円台に沈静化しており、釧路火力はペイせず、赤字の垂れ流しが続く。二月からはほとんど運転していない。
しかも、ファンドが抱える石炭火力は釧路火力だけではないのだ。響灘火力発電所(福岡県)、三池火力発電所(同)があり、事情はいずれも同じだが、とりわけ深刻なのは響灘火力だ。発電出力十一万キロワットの六割をFパワーへ卸供給してきたが、同社の更生手続き開始によって過去の代金回収は凍結されてしまう。他の売電先はJEPXしかなく、早晩資金ショートに追い込まれるだろう。
IDIインフラは、二号・三号投資組合合わせて二百三十億円規模の減損損失が見込まれている。ファンドは大和本体に連結されていないとはいえ、売却もできない発電所をどうするのか―。鉄くずのまま野晒しにすれば、釧路の反対派をはじめ環境団体が訴訟を起こすだろう。組合財産以上の損害賠償額を科された場合、その責任はファンド株主である大和に向くのだ。
東京ガスの幹部も怨嗟の声を上げる。同社はIDIインフラの那珂瓦斯発電所(茨城県)へ燃料を十五年供給する長期契約を結んでいるが、Fパワーの更生手続き開始で契約解除の可能性が高まっているからだ。違約金どころか、代金回収も危ぶまれる。
「大和は代位弁済する気があるのか。電気事業には長期のリスクを引き受ける覚悟が必要だが、“株屋”にそれは期待できない」
持続可能性のない大和のSDGsは、そのメッキが剥げ落ちようとしている。(敬称略)
「あれが大和証券の発電所だなんて誰も知りませんよ。本社所在地が東京と聞いて初めて分かった」
北海道釧路市―。かつての“炭鉱の街”で昨年十二月、運転開始した石炭火力発電所に環境団体の批判が巻き起こっている。
同石炭火力は地元の有力企業、釧路コールマイン(KCM、太平洋炭礦の後身)の国内炭を燃料に発電する地産地消プロジェクト。市長・蝦名大也の支援の下、蝦名の後援会長であるKCM創業者・中島太郎の肝煎りで進められてきた。一月は十一万キロワットの発電出力がフル稼働、多くの排煙が上がり、KCMの貯炭場からは一日百台以上のトラックが往来した。騒音は公害防止協定が定める七〇デシベルを超えたという。
実はこの釧路火力発電所の操業主体は、電気事業のインフラファンド、IDIインフラストラクチャーズであり、その五〇%の大株主が大和証券グループ本社なのだ。大和と言えば、「SDGs(持続可能な開発目標)」を社是に掲げ、グリーンボンドや環境関連投資信託の販売大手だが、表の顔とは裏腹に二酸化炭素を大量排出する石炭火力を密かに運営しているのである。反対派幹部が続ける。
「住民はKCMの発電所ならば仕方ないと排煙や騒音を我慢しているのに、本当は大和の発電所。昨年十一月、表へ出てこない大和の真意を問うべく、中田誠司社長宛てに質問書を送りましたが、梨のつぶてです」
当然と言うべきか。大和はIDIインフラの大株主ながら、すでに二百八十億円もの建中融資を実行した釧路火力から撤退を決め、世間の知らぬ間にファンドを解散しようとしているのだ。
その黒幕は大和の代表執行役副社長・松井敏浩、同じく常務執行役員・荒木秀輝の二人。いずれもIDIインフラの取締役であり、昨年十月、ファンドを率いてきた社長の埼玉浩史に対し、真偽不明のまま、投資先との不適切取引や不透明な経費使用などの疑いをかけて解職し、荒木が後を襲ったことは本誌二月号が報じた通りだ。しかし、事態は大和の思わぬ方向へ動く。
ヤマが外れた大和の“傍若無人”
「埼玉氏にはFパワー社長も辞めてもらいたい。今後はわれわれが経営を主導する」
IDIインフラ社長の荒木は二月二十六日、ファンド傘下の投資組合が七三%超出資する新電力大手、Fパワーを訪れ、社長・埼玉に辞任勧告を突きつけた。これが、後述する事態の引き金と言っていい。経緯を解説しよう。
発電所建設を進めるIDIインフラは、日本興業銀行(現みずほ銀行)出身の埼玉を中心に設立され、その電力販売は事実上の子会社のFパワーが担ってきた。独自の料金体系で急成長したFパワーは一時、年四百万キロワットの顧客を獲得して新電力トップに立つ。そこへ電気事業投資でひとヤマ当てようと接近したのが大和である。二〇一六年、IDIインフラへ五〇%出資して松井、荒木は取締役に就き、Fパワーにも投資子会社の大和PIパートナーズを通じ、約一〇%資本参加した。
しかし、原発の停止に伴って一七年から日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が高騰、逆ざや販売に陥ったFパワーが債務超過の見通しになると、大和は豹変する。証券人の松井、荒木はヤマが外れたと思ったのだろう。発電所建設への資金支援を拒否し始める。さらに脱炭素機運の高まりを受け、大和のレピュテーションリスクを恐れ出したのだ。
幸いIDIインフラもFパワーも大和本体に連結されていない。経営責任を埼玉一人に負わせて追放し、その後、ファンドは解散、Fパワーは大和のグループ力に物を言わせて売り飛ばせば、大和本体の業績に何ら影響はない。実際、Fパワーの四百件近い法人顧客には大和の投資先である光通信が興味を示してきた。その売却交渉がまとまったので、荒木は埼玉に辞任を迫ったわけだ。事情を知る証券関係者は囁く。
「松井氏と荒木氏はおそらく、一月のJEPX暴騰も好都合だと冷笑していたに違いない」
その通り、発電燃料のLNG(液化天然ガス)不足に寒波が重なって現出した異常なスパイク相場の結果、Fパワーは電力会社へ支払うインバランス精算が最大二百億円にも膨らむ。二一年六月期は二度目の債務超過が避けられない状況なのである。Fパワーは三月三十一日に開く臨時株主総会で埼玉が退任、代わって社長に就く荒木はじめ大和側四人の取締役が選出される見通しとなった。
しかし、これは明らかな利益相反である。大和常務の荒木はIDIインフラ社長として投資先であるFパワーを支援する立場にあり、しかも、Fパワー社長も兼務するにもかかわらず、その義務を果たさないのだ。Fパワーは「大和に追加支援の意思はないのか」と繰り返し質したが、荒木の回答はこうだった。
「大和は一切関与しない」
「会社更生法」で逆襲のFパワー
「どういうことだ!」
荒木のFパワー訪問から一カ月後の三月二十四日、大和社内は大騒ぎになった。Fパワーが「会社更生法」の適用を東京地裁に申請し、受理されたからだ。
直ちに保全管理人に同法のプロである弁護士・富永浩明が指名された。Fパワーの過去の債権債務には保全命令が出て、更生手続きの過程で経営権や財産が処分される。Fパワーは一〇〇%減資される結果、株主であるIDIインフラ傘下の二号・三号投資組合、大和PIなどの権利は消滅するのだ。埼玉が退任するはずだった三十一日の臨時株主総会は意味がなくなったのである=次頁の表参照。
負債総額は、最大二百億円のインバランス精算を含めて四百六十億円を超える見通し。が、Fパワーは二一年六月期の決算を行えないため、債務超過には至らない。JEPXの会員資格は失効せず、決済能力がある限り電力の市場取引は継続できる。すでにFパワーには複数のスポンサー候補があり、債務を遮断し、石炭火力からも切り離されれば、身ぎれいな新電力に生まれ変わるだろう。
一九五一年の電力九社体制以来、新電力を含めて会社更生法を適用された電気事業者は一社もない。インバランス精算を踏み倒しての再生には批判もあるが、経済産業省にはJEPX暴騰を招いた電力自由化の制度不備の負い目もある。「最終需要家の保護のため、裁判所が更生開始を判断するなら異議は唱えない」という姿勢だ。まさしく奇策と言っていい。ある電力関係者は破顔した。
「大和の面目は丸潰れだ。売り飛ばすつもりだったFパワーに裏をかかれ、しかも、残された石炭火力をどうするつもりか」
実は件の釧路火力は“いわく付き”の発電所なのだ。その発電コストは一キロワット時当たり十四~十五円と高く、国内炭を燃料とする限り競争力はない。が、木質バイオ発電に一〇〇%転換できる循環流動層ボイラーを装備している。IDIインフラ社長を解職される前の埼玉が三号投資組合を募って着工したときは、いずれバイオ火力へ転換し、日本進出を目指すアジアのインフラ企業へ売却することを念頭に置いていた。
ところが一月、最高値二百五十一円を記録したJEPX暴騰が起きる。釧路火力が排煙と騒音をまき散らしてフル稼働したのも頷けるだろう。一カ月足らずで五十億円を超える売電収入を得た。これに大和は気をよくしたのだ。
釧路火力は、JFEエンジニアリングへ未払いの建設代金八十億円を五年で分割弁済することになっているが、大和は売電収入をそれに充てる一方、欲を出し、自らの建中融資二百八十億円を一部回収したとされる。当然、三号投資組合には売電のリターンは入らない。ここにも利益相反があるが、大和優先の組合運営を進めているのはIDIインフラ社外取締役の岩下正(ローソン銀行会長)。松井、荒木に抱き込まれ、埼玉追放に加担した元財務官僚である。しかし……。
覚悟なき“株屋”の電気事業
「しょせん彼らは素人」
社長の荒木はじめ松井、岩下のIDIインフラ取締役には、電力・ガス業界の嘲笑が響く。異常なスパイク相場に幻惑され、本来、好機であった発電所の売り時を逃したからだ。すでにJEPXのスポット価格は六~七円台に沈静化しており、釧路火力はペイせず、赤字の垂れ流しが続く。二月からはほとんど運転していない。
しかも、ファンドが抱える石炭火力は釧路火力だけではないのだ。響灘火力発電所(福岡県)、三池火力発電所(同)があり、事情はいずれも同じだが、とりわけ深刻なのは響灘火力だ。発電出力十一万キロワットの六割をFパワーへ卸供給してきたが、同社の更生手続き開始によって過去の代金回収は凍結されてしまう。他の売電先はJEPXしかなく、早晩資金ショートに追い込まれるだろう。
IDIインフラは、二号・三号投資組合合わせて二百三十億円規模の減損損失が見込まれている。ファンドは大和本体に連結されていないとはいえ、売却もできない発電所をどうするのか―。鉄くずのまま野晒しにすれば、釧路の反対派をはじめ環境団体が訴訟を起こすだろう。組合財産以上の損害賠償額を科された場合、その責任はファンド株主である大和に向くのだ。
東京ガスの幹部も怨嗟の声を上げる。同社はIDIインフラの那珂瓦斯発電所(茨城県)へ燃料を十五年供給する長期契約を結んでいるが、Fパワーの更生手続き開始で契約解除の可能性が高まっているからだ。違約金どころか、代金回収も危ぶまれる。
「大和は代位弁済する気があるのか。電気事業には長期のリスクを引き受ける覚悟が必要だが、“株屋”にそれは期待できない」
持続可能性のない大和のSDGsは、そのメッキが剥げ落ちようとしている。(敬称略)
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