マスコミ 業界 ばなし
2021年5月号
日本経済新聞の四月十三日付朝刊を広げた読者の多くは唖然としたに違いない。毎年、開催する同社の看板シンポジウム「アジアの未来」の招待講師としてタイのプラユット首相が紹介されていたからだ。プラユット氏は二〇一四年の軍事クーデターによって暫定首相に就任し、憲法改悪、野党候補の拘束をしながら「国民に選ばれた」と主張する「軍人」だ。欧米諸国は今なおプラユット政権の正当性を認めておらず、ハイレベルの交流はしない。プラユット氏を温かく遇しているのは中国の習近平国家主席くらいのものだ。
その人物を文民政治家のように扱い、「アジアの未来」を語らせるというのだからブラックジョークである。日経の見識、倫理観が狂っていると言わざるを得ない。タイの隣国ミャンマーでは現在進行形で軍が市民を虐殺しており、日経の姿勢はこれについても間接的に容認、支持することになりかねない。
「アジアの未来」は日経が一九九五年に故鶴田卓彦社長時代に始めたもの。当初は毎年、各国の大統領、首相クラスが五~六人は参加した権威ある民間交流会議だった。そのためアクセンチュアや野村證券などが二千万~三千万円の協賛金を払って・・・
その人物を文民政治家のように扱い、「アジアの未来」を語らせるというのだからブラックジョークである。日経の見識、倫理観が狂っていると言わざるを得ない。タイの隣国ミャンマーでは現在進行形で軍が市民を虐殺しており、日経の姿勢はこれについても間接的に容認、支持することになりかねない。
「アジアの未来」は日経が一九九五年に故鶴田卓彦社長時代に始めたもの。当初は毎年、各国の大統領、首相クラスが五~六人は参加した権威ある民間交流会議だった。そのためアクセンチュアや野村證券などが二千万~三千万円の協賛金を払って・・・