三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

日本だけ「コロナ苦」は長引く

「ワクチン大敗」が重い足かせに

2021年5月号

「先進国で日本だけ、コロナが収束しないかもしれない」―高橋謙造・帝京大学教授(公衆衛生学)は、悲観的な観測を述べる。感染力が強い変異株の感染が急速に広がる中、日本の検査体制は脆弱で、ワクチン接種は遅れ、医療体制は崩壊の危機にある。
 世界の感染状況を見ると、一日あたり新規感染者数(七日移動平均)は、四月十七日に七十六万六千人超と過去最高を記録し、その後も増え続けている。特筆すべきは春から夏に向かう北半球でも感染が拡大していることだ。本来、コロナの流行の本番は冬で、十月から感染が拡大し、一~二月にピークに達する。第四波が拡大し秋になっても収束しなければ、冬場の流行に突入し、年明けには桁違いの規模に拡大しかねない。
 こうした中、政府は三月十八日、緊急事態宣言の解除に合わせて、飲食対策、変異株モニタリング、検査体制強化、ワクチン接種、医療体制強化を五本柱とする感染防止の総合対策を発表した。ただ、いずれも諸外国の対策と比べて見劣りすると言わざるを得ない。例えば、四月十四日の人口一千人あたりの検査数は〇・五件で、英国の十三・八件の約二十八分の一だ。韓国(〇・八件)、インド(・・・