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WORLD

「台湾有事」その時日本は

「強固な日米同盟」という虚構

2021年5月号特別リポート

 ジョー・バイデン米大統領の下で、中国との緊張が新たに高まる中、台湾防衛が東アジアの喫緊の課題に浮上している。
 習近平国家主席が、米国の政権交代後に、台湾に対する軍事的圧力を強めているためだ。四月中旬には、台湾が設定する防空識別圏に、昨秋以降では最多となる延べ二十五機の中国軍機を侵入させた。
 米国の軍事専門家の間では、台湾を軍事的に孤立させれば、習政権が冒険に出るとして、日本を含めた東シナ海全体の安全保障体制構築を求める声もある。
 日本にとっても、中国による台湾攻撃が起きれば、アジアの安全保障環境を決定的に悪くするだけに、「台湾有事」をめぐる対応策作りが急務になっている。

東シナ海で続く「艦船ラッシュ」

 中国政府が望んでいた「米中関係リセット」は、ついに起こらなかった。
 新政権発足から三カ月もたたない四月。米国は、三人の元高官の「非公式」使節を台北に送り込んだ。ドナルド・トランプ前大統領が、アレックス・アザー保健福祉長官(当時)を台北に送ってから、わずか八カ月・・・