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連載

をんな千一夜 第50話

「加害の女」の悔恨
石井 妙子

2021年5月号

《岡部 伊都子》

 先日、脚本家の橋田壽賀子が九十五歳で旅立ったが、訃報を伝える新聞やテレビに接して、初めて知ることがあった。
 彼女の代表作といえば、なんといってもNHK朝の連続テレビ小説『おしん』であろう。山形の寒村に生まれた貧しい少女が奉公に出され、姑にいびられ、戦争ですべてを失いながらも、たくましく生き抜く姿を描いた作品で、世界中で人気を博し、「日本といえば、『おしん』の国」とまで言われた。
 日本で初めて放映されたのは一九八三年四月からの一年間。日本がバブル経済という飽食の時代に突入していこうという間際に、放映された作品でもあった。
 当時の私は中学生。祖父母の世代がどのような人生を送ってきたのか、戦前戦後の日本の移り変わりを、しみじみと考えさせられたことを思い出す。
 物質的な豊かさを求めて驀進しようとする日本人への戒めとして、貧しく苦しい生活を生き抜いた庶民女性への讃歌を作者は書いたのであろう、私は今まで長くそう思い込んできた。
 ところが今回の訃報で、『おしん』で書・・・