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経済

《地方金融の研究》唐津信用金庫(佐賀県)

繰り返される「幹部の犯罪」

2021年5月号

 佐賀県北西部に位置し玄界灘に面する人口約十二万人の城下町・唐津市。唐津湾沿いの海浜には国の特別名勝で三保の松原(静岡市)、気比の松原(敦賀市)と並ぶ日本三大松原の一つに数えられる景勝地「虹の松原」が続く。
 その唐津市の金融界がいま揺れに揺れている。市に本店を置く唯一の金融機関・唐津信用金庫で今年四月九日、多額の資金不正流用事案が発覚したためだ。その額、二億四千七百七十万円。しかも“犯行”に手を染めていたのが唐津信金にわずか七人しかいない支店長のうちの一人、いわばエリートによる仕業だったとあって市民らの間にも驚愕と呆れ顔が広がった。
 実は肥前地方ではその三日前の四月六日、長崎市内の郵便局に勤めていた六十代元局長による十億円超にのぼる貯金詐取事案が明るみになったばかり。連日の大型金融不祥事の表面化に地元財界人の一人は「とんだ恥さらし」と吐き捨てる。

「典型的な人生転落ゲーム」

 唐津信金は産業組合法に基づく「有限責任唐津町信用販売購買組合」として一九二九年に発足。・・・