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経済

LINE「情報漏洩騒動」の裏事情

「乗っ取り」企む政府とZHD

2021年5月号

 無料通信アプリのLINE(ライン)のユーザー情報が中国から閲覧可能だったと発覚したのは、三月中旬のこと。日本の人口の七割近い約八千六百万人が利用し、官公庁や自治体、民間企業などもラインでサービスを提供していただけに国内には衝撃が走った。
 四月十九日、ラインは総務省にこの問題の報告書を提出し、「これで一段落」との認識がライン社内で広がっているという。
 だが「ことはそれほど単純ではない」と話すのは、ラインの親会社であるZホールディングス(以下、ZHD)の関係者だ。「韓国と繋がりが深いラインを完全に国産アプリ化する目論見は着々と進んでいる」。
 実のところZHDは、ラインのサービスなどを完全に掌握する思惑で日本政府関係者とも手を組んでいる。ZHDなどにとってラインをめぐる問題は、実は「始まったばかり」なのだという。

甘利とNSS経済班の蠢動

 ラインはもともと韓国企業ネイバーの日本法人が開発した通信アプリだ。二〇一一年にサービスを開始してから、その手軽さやキャラクタースタンプなど・・・