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中国軍・警察で「粛清の嵐」再び

習近平「個人崇拝」の異常な徹底

2021年5月号

 中国の習近平国家主席が、警察や人民解放軍など、国家統治の暴力装置において、大規模な粛清を進めている。表向きには「貪官汚吏の一掃」を掲げているが、習主席の体制に絶対的服従をしない官僚や警察、軍幹部をあぶり出し、習独裁を軍・治安機関に確立しようという試みだ。手法はまるで、ソ連のスターリンである。

「警察内の異端分子を暴け」

 三月二十七日のことだ。
 趙克志・公安部長(公安相)が北京で、中国共産党の中央規律検査委員会や組織部などの、党内規律や治安関係の幹部を集めて、強い言葉で出席者に活を入れた。
「腐敗官僚をいつまでのさばらせておくのか」と言うのだ。
 趙氏は特に、周永康(元公安相)、孟宏偉(元海警局長)、孫力軍(元公安副大臣)の三人を名指しし、三人のような「黒いヒツジ(異端分子)を、警察組織内から徹底的に暴き出せ」と檄を飛ばした。
 三人はいずれも公安部のOBだ。
 周は、円換算で一兆数千億規模という天文学的な資産を貯め込んだとされ、二〇一五年に無期懲役の判決・・・