米国「中東大撤収」が招く惨事
反米勢力は必ず「乱」を生む
2021年5月号
ジョー・バイデン米大統領が、中東からの米軍撤退に着手した。歴代米政権が、イスラエルやサウジアラビアなど、同盟国と産油国の防衛に注力したのとは対照的に、バイデン政権は中東の優先順位を下げて、軍事力を東アジアに振り向ける方針だ。取り残される中東には、脆さと不安が漂っている。
米国が中東から姿を消したがっているのは、世界の外交現場で、目に見えて分かる。
ウィーンで四月に始まった「イラン核合意」の再協議では、米国の核合意復帰が最大のテーマだ。
だが、会場である「グランド・ホテル・ウィーン」の大広間に、米国の外交官は見当たらない。米国とイランが直接協議するのではなく、イランが、英国、ドイツ、ロシアなどと「間接協議」をし、米国との距離を狭めていこうというのだ。四月上旬は前進なし。中旬に再開したものの、ロシア外交官に「これでは(合意は)はるか彼方だ」と評される始末だ。
イラン政府は、ドナルド・トランプ前大統領に振り回された。「核合意に復帰する」と公言していたバイデン大統領の就任を心待ちにしていた。新政権が発足するや否や、ハッサン・ロウハニ大統領らが、・・・
米国が中東から姿を消したがっているのは、世界の外交現場で、目に見えて分かる。
ウィーンで四月に始まった「イラン核合意」の再協議では、米国の核合意復帰が最大のテーマだ。
だが、会場である「グランド・ホテル・ウィーン」の大広間に、米国の外交官は見当たらない。米国とイランが直接協議するのではなく、イランが、英国、ドイツ、ロシアなどと「間接協議」をし、米国との距離を狭めていこうというのだ。四月上旬は前進なし。中旬に再開したものの、ロシア外交官に「これでは(合意は)はるか彼方だ」と評される始末だ。
イラン政府は、ドナルド・トランプ前大統領に振り回された。「核合意に復帰する」と公言していたバイデン大統領の就任を心待ちにしていた。新政権が発足するや否や、ハッサン・ロウハニ大統領らが、・・・