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連載

日本の科学アラカルト 128

ワクチンや治療薬だけではない 新型コロナに挑む研究者

2021年4月号

 新型コロナウイルスの日本国内での感染拡大から一年以上が経過し、収束の兆しはいまだに見えてこない。ワクチンの接種が始まっているが、調達の見通しを巡って時期が後ろ倒しになるなど混乱もみられる。
 現状、新型コロナワクチンは完全な海外依存だ。アストラゼネカのワクチンが日本国内で製造される見込みがあるものの、「日の丸ワクチン」ではない。いくつかの企業が国産ワクチン開発に名乗りを上げたが、これといった成果が出ないまま時間だけが過ぎている。
 治療薬についても、見込みは薄い。当初、「特効薬」かのように取り沙汰されたアビガンは、効果が眉唾だったことが明らかになり、国内では承認さえされなかった。今後、治療薬が日本から出る可能性はゼロではないが、外国でも効果が認められる治療薬は出ておらず、ワクチンに重点を置いているのだから「日本が出し抜ける可能性は低いのではないか」という見方のほうが多いだろう。日本の医学研究、科学の底力が衰えているのではないかという疑念だ。
 ワクチン開発の問題については真摯な反省が必要であり、国や製薬会社の研究体制を含めた見直しが必要だ。
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