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インドが「ワクチン外交」に参戦

いまや日本以上の「製薬大国」

2021年4月号

 米欧、中国、ロシアが争う新型コロナウイルス・ワクチンの地政学に、世界最大のワクチン生産国インドが割り込んできた。
 米国が当面、「自国最優先」で臨む中で、インドは低価格と使いやすさを武器に、アジア、アフリカの発展途上国で中露と競っている。米国や欧州連合(EU)でも、インド製ワクチンへの関心が高まっている。

二人のカリスマ経営者の先見性

 インドのワクチン外交を検証する前に、インド製薬業界の実力を紹介しておこう。
 舞台となるのは、インド中部に位置するテランガナ州の州都ハイデラバード(アンドラ・プラデシュ州都も兼ねる)と、アンドラ・プラデシュ州の港湾都市ビシャカパトナム(通称バイザック)という二つの都市だ。
 どちらも伝統的に製薬産業が盛んで、近年は「ファーマ・シティー(製薬都市)」と呼ばれるバイオ工業団地を造成し、バイオ・医療分野の先端企業や才能ある人材、高度な技能労働者を集めている。
 インドの実力を体現するのは、「バラート・バイオテック」と「セルム・インスティテュ・・・