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政治

二階が菅を見限る時

「解散権」失った総理の末路

2021年2月号

 首相菅義偉という政治家をめぐってはかねて「菅ギャンブラー説」が存在する。横浜市議時代から菅をよく知るジャーナリストによると「菅はいつも強気の大穴狙い」だという。二〇一二年の自民党総裁選で菅は野にあった元首相安倍晋三を担ぎ出し、見事に復活を演出した。この成功体験が菅に自信を与えたことは間違いない。菅自身がトップリーダーの座に駆け上がった昨年の自民党総裁選も同様だ。菅に積み上げた政策的な裏付けや強力な人脈があったわけではない。自民党幹事長の二階俊博と巡り合い、その職人的なシナリオに乗る決断をしたことが「勝ち馬現象」を呼び込んだ。
 新型コロナウイルスによる感染症対応でも一点突破型の菅の政治手法は変わらない。菅は必ず断定的に見通しを語る。昨年十月二十六日に召集された臨時国会での所信表明演説ではこう明言した。
「爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜く」
 しかし、どこから「絶対に防ぎ」という言葉が出てきたのか。菅の自信に満ちた発言にはほとんどと言っていいほど説明がない。いつもいきなり結論を提示する。昨年末以来の感染拡大とそれに反比例する内閣支持率の急・・・