弱点だらけのバイデン政権
民主党版「国家の分断」の始まり
2021年2月号特別リポート
発足したばかりのジョー・バイデン米大統領が、最初の十日間からてんてこ舞いだ。
こう言っても、新政権にとって最重要の、新型コロナウイルス感染対策や経済支援の話ではない。バイデン当選に大きく寄与した、女性や黒人、ヒスパニック、同性愛者などの利益代表団体が、それぞれの要求の早期実現を求めて、政権に強く働きかけているのだ。
米国政治では、社会の主流派である白人男性が共和党を支持し、その他のあらゆる「少数派」が民主党を支持するという傾向が、ずっと定着している。
少数派の各集団は、バラク・オバマ大統領の八年間の下で失望を経験している。「選挙の時だけ頼られるのは、もう御免だ」と、新政権発足当初から厳しく臨んでいる。あちらを立てればこちらが立たずのドタバタがどこに向かうのか。最新情勢を報告する。
「最も多様な政権」の内情
最初に難しい話をお許しいただきたい。最近の政治学では、人種を筆頭にした出自(自分のアイデンティティ)によって、政治が動かされることを「アイデンティティ政治・・・