真白き「流氷」と人類の物語
北海道「冬景色」にも気候変動の影
2021年2月号
今年は寒気が強く、北海道の流氷は一月中旬に早くも姿を見せた。
オホーツク海の波が妙に静まりかえり、青い水の色が一段と深まるころ、水平線が空と溶け合うように白くぼやけ、風がきりりとした寒さを運んでくる。
氷の群れは近づくような、離れるような、海辺の人びとをじらすように漂いつつ、ある朝、一面に岸から先を埋め尽くす。
波音は消え、陸と海の境目がなくなり、視点が定まらないくらいに茫漠とした広がりに覆われる。
とはいえ、実際に氷原に出てみると少しも平らではない。大小の氷盤がぶつかり合い、押し合い、重なり合う。おまけに斜めになった氷の表面はつるつる滑る。何とも歩きにくく、距離ははかどらない。
そこを身軽に飛び渡る影がある。キタキツネ。氷の合間に閉じ込められた魚を探しているのだろうか。見え隠れしながら、どんどん沖に出てゆく。風が吹いて陸に戻れなくなったら、という心配はしないのだろうか。
オオワシやオジロワシは、流氷を休憩地としながら、北海道と北方領土、千島列島を往来していることが知られている。
ワシたちは背の高い流・・・
オホーツク海の波が妙に静まりかえり、青い水の色が一段と深まるころ、水平線が空と溶け合うように白くぼやけ、風がきりりとした寒さを運んでくる。
氷の群れは近づくような、離れるような、海辺の人びとをじらすように漂いつつ、ある朝、一面に岸から先を埋め尽くす。
波音は消え、陸と海の境目がなくなり、視点が定まらないくらいに茫漠とした広がりに覆われる。
とはいえ、実際に氷原に出てみると少しも平らではない。大小の氷盤がぶつかり合い、押し合い、重なり合う。おまけに斜めになった氷の表面はつるつる滑る。何とも歩きにくく、距離ははかどらない。
そこを身軽に飛び渡る影がある。キタキツネ。氷の合間に閉じ込められた魚を探しているのだろうか。見え隠れしながら、どんどん沖に出てゆく。風が吹いて陸に戻れなくなったら、という心配はしないのだろうか。
オオワシやオジロワシは、流氷を休憩地としながら、北海道と北方領土、千島列島を往来していることが知られている。
ワシたちは背の高い流・・・