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経済

サムスン「帝国存亡」の崖っぷち

この難局で李在鎔「再収監」の痛手

2021年2月号

 韓国・サムスン電子の実質トップである李在鎔副会長に「崔順実ゲート」事件に関わる贈賄罪で懲役二年六カ月の実刑判決が下され、李氏は上告せず、実刑が確定した。米中冷戦とコロナ禍でトップの迅速かつ果断な判断が必要な時だけに打撃は計り知れない。サムスンは“帝国”を築いたカリスマ経営者、李健熙会長が昨年十月に亡くなり、続いてトップが長期不在となる。帝国は崩壊の危機に直面するだろう。李副会長が獄中から指揮を執っても執行側が「凡人の合議体」となれば、“松下幸之助”亡き後のパナソニックの轍にはまる。韓国経済を押し上げたサムスンは踏みとどまることができるのか。
 李副会長は同事件で、二〇一七~一八年にかけて一年近く拘束されたが、その間も経営の指揮を執った。ただ、その時は意識のない状態とはいえ李健熙会長は存命で、サムスングループには求心力が働き、経営環境も安定していた。今回は「百八十度異なる状況で、社内に動揺が走っている」とサムスンの元役員は語る。それほど李ファミリーの存在は大きい。
 サムスン経営陣の特徴は、生き字引のように会社を知り尽・・・