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連載

西風 477

生まれ変わるリゾート地「六甲山」

2021年2月号

 六甲山はまるで屏風のように連なる山脈である。標高九百メートル余りで街の背後に迫り、神戸市など、周辺の人間にとってつねに見守られている「母なる山」だ。
 江戸時代、六甲山は燃料として木が切り倒されてはげ山状態の部分もある荒涼とした場所だったという。一八九五(明治二十八)年にこの土地に最初の山荘を建てたのが、英国人貿易商、アーサー・ヘスケス・グルームだった。「避暑地」としての六甲の歴史を拓いた人物だが、グルームは自らの山荘の周辺に仲間たちとゴルフコースを造成した。その後多くの人が来場するようになり、一九〇三年に日本のゴルフ場のルーツとなる「神戸ゴルフ倶楽部」としてスタートする。山間部に造成されたため、一般のコースよりも短く、使えるゴルフクラブの本数も十本以内に制限されるなど独特のルールもあるが、黎明期の日本のゴルフの息吹を直接感じることのできる貴重な場所としてゴルファーに愛されている。
 リゾート地としての六甲山は昭和初期にドライブウェイやケーブルカーが整備され、戦後には牧場や人工スキー場などの観光施設が設けられた。神戸市中心部から車で三十分、六甲ケーブルでも十分で山・・・