「徴用工・慰安婦」日韓の最終手段
「未解決の解決」模索する文在寅
2021年2月号
韓国人元慰安婦と遺族十二人が起こした訴訟で、ソウル中央地裁は一月八日、日本政府に損害賠償を命じる判決を言い渡した。日本企業の資産売却に向けた司法手続きが進む徴用工訴訟問題が解決しない中、新たな問題を引き起こした韓国に対する日本国内の評価は、一層厳しくなっている。二つの懸案の解決に取り組む日韓外交関係者の間では、日本政府や日本企業に実害を与えないように判決を棚上げする玉虫色の解決を模索する動きが出ている。
慰安婦訴訟の判決が、日韓双方にとって衝撃だった理由は二つある。
日本政府は、国家の行為や財産は一般に他国の裁判所で裁かれないという国際法上の「主権免除」の原則から裁判に応じてこなかった。日本政府は、この原則を貫くため控訴せず、判決は一審で確定してしまった。
もう一つは、判決確定によって、賠償に応じない日本政府の資産差し押さえが、理論的に浮上するという点だ。万一、韓国内の日本政府の資産差し押さえに向けた司法手続きが始まれば、日韓関係の破綻が現実化する。その意味で、日本企業の資産が対象になっている徴用工訴訟よりも、はるかに重大な問題が生まれ・・・